読み書き引きこもり

書く練習をかねて。

淀川沿いを世界一周中のイラン人と走った


先日、自転車で世界一周中のイラン人夫妻を京都から大阪まで案内した。
1年半前にテヘランの自宅を出発して、ヨーロッパ、北米と渡り日本は11か国目。

 

どうして自分なのかというと。

アメリカでサポーターを引き受けたのが、「コードピンク」という女性団体だった。
彼女らは、あちらのニュースによく登場する。
イラク戦争に反対で、目下懸念されるイラン攻撃に反対キャンペーンをはっている。
その一環で支援することにしたのだろう。

夫妻は各地のサポーターを全部決めて家を出たわけではない。
行き先々で、数珠繋ぎで紹介してもらっているようだ。
僕は、アメリカのコードピンクから依頼を受けた人にお願いされた。

酒の席で。
暇なの、知られてるからw

京都大阪間なら何度も走ってる。
半分以上が淀川沿いのサイクリングロードだから、案内するといっても大したことではない。
世界一周のお手伝いなんて面白そうじゃないか。
それに、イランに一度だけ旅行したことがあるのだか、向こうでは見ず知らずの人にお世話になった。
お返しするいい機会だと思って引き受けた。



夫妻にとって日本は疲れる国だ。
自転車保有台数で日本は世界の上位にいるが、自転車のためのインフラは整ってない。
そんなこと、僕らにとっては当たり前の話だが、夫妻は来日するまで知らなかった。
ここまで厄介とは思ってなかったのだ。

車道を走れば危ないし、歩道を走れば速度は出せないし。
信号無視して走る日本の「常識」に驚くし。
テントを張れそうなところはなかなか見当たらないし。
おりしも台風シーズンで足止めを食らうし。
なかなか前に進めない。
アメリカ、カナダでは1日150km走ったことがあるが、日本では4日で200km程度とぼやいた。
そういう苦難の連続だったから、夫妻は上機嫌だった。
サイクリングロードは車止めがときどきあるぐらいで景色もいい。
街中もなるだけ走りやすいコースを選んだ。

ズバリ、どこが一番走りやすいのか?
一番知りたいことは、案外ガイドブックにはのってない。
現地に行って、現地の人にたずねないとわからない。
今が正にそれと言ってもらえた。

だが、「こんないい道があったなんて!もっと他にないの?」の、質問には困った。

山口県まで行って、そこから関釜フェリーで韓国に行く予定と聞いたので、大阪をたつまでに最適なルートを調べてあげようと思ったが、サイクリング道と名のつく道はほんのわずかな区間しかない。
では、なるだけ安全に車道を走れて、なるだけ起伏なくて、なるだけまっすぐ西に向かっていて、日本語が全く分からない初来日の外国人が不安に思わずにいられる道はどうかというと、そんな都合のよい道は無い。



ところで、二人の本職は、ロッククライマー。
選手でありコーチでもある。
特に妻の方はイラン、台湾のナショナルチームでコーチを務めた、すごいキャリアの持ち主だ。

自転車は夫婦の趣味。
イランでは自転車を日常の足に使うひとは少ない。
だいたいの街は起伏があるので自転車には向かないから。
でも、小旅行を楽しむ人はわりといるという。

夫妻は、ただ走っているわけではない。
行った先で木を植えること、現地の人と交流すること、そしてイランの話を聞いてもらうことを自分たちに課している。
環境と世界平和がテーマだ。

時節がら、イラン包囲網を築くアメリカのアンチテーゼと思われがちだが、二人の口から意外なことを聞かされた。
この計画を思いついたのは3年前。
スタンスはあくまでワールドピースであり、アメリカに対して大声で主張するつもりはない。
原体験は、イラン・イラク戦争。
幼少期の疎開体験など、戦争の恐怖が記憶に刻まれている。
いま夫30歳、妻27歳だから、終戦の年は10歳と7歳だ。
※イラン・イラク戦争…1980~1988年

なるほど、そういうことは話してもらわないと分からない。
二人はアメリカCNNのインタビューを受けたのだが…。
スタジオと彼らを生中継でつないで、早口のアンカーが時間めいっぱい英語でガンガン質問を浴びせかける。
イラン革命以来、イランはアメリカの敵だ。
イランもアメリカに辛辣だ。
近い将来、アメリカはイランを攻撃しかねない情勢だ。
そこで夫妻の目的は何だと。
質問は予め聞かされていただろうし、二人は英語がうまいんだが、あれじゃあアメリカ人でも緊張してうまく答えられない。
アンカーの配慮が足りなかった。



そういうこともあったが、アメリカでは思いのほか歓迎してもらえて良かったそうだ。
各地で植樹もできたし、小学校で特別授業を依頼されたりもした。

極めつけはシアトル。
自転車屋でタイヤ交換を注文したのだが、約束の2日後にやってきたら全部ピカピカになっていた。
見た瞬間、「どっ、どっ、どうしよう。心臓パクパク。どうしてこんなことに。払えないよ(泣)」(妻談)。
日本での1日あたりの滞在費を900円程度と見積もっている二人にとっては絶対絶命だ。
ところが、これは店主の心意気だった。
「君たちは良いことをしている。自分もそういうことをしたいが、店があるからね」と、言ってプレゼントしてくれたのだ。
総額15万円!!
こういうエピソードは、全てのアメリカ人の株をあげる。
さすがアメリカ人!なのだ。
二人は帰ったら英語とペルシャ語で本を書く予定だが、これはきっと載せるだろう。
イラン人のハートを掴むに違いない。

http://rmc4peace.com/

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梅田から吹田の宿泊施設に向かうのにすごく時間がかかってしまった。
車しか走れないかもと思って、通常とは別の道を行ったのが間違い。
迷ってしまった。
なんとか着けたけれど、夜だし、疲れているのに申し訳なかったな…。